梅雨が明けてから、川に行ける日は毎日通った。
家から歩いて数分のところにある川が、いつもの遊び場所。
行くと、おじいさんと孫2人の3人が来ている。
去年は梅雨と台風が連なって夏がないような感じだったから
私たちもほとんど川へ行かなかったのだけど
2年前、今年のように毎日毎日川へ行くと
同じように毎日川へ来ていたおじいさんと孫。
「あ。」と2年前を思い出す。
このおじいさんがジャックマイヨールみたいな筋骨隆々とした方で
毎日川に来ては孫に潜り方や泳ぎ方を教えていた。
2年前、なんだかいいな、と思って見ていたのでよく覚えていた。
毎日会うので、なんとなく話をするようになって
あちらは私たちのことを夏休みで帰省している親子だと思っていたらしく
東京から4年前に越して来たのだと言うと
少年たちは夏休みになると毎年おじいさんの所へ
東京からひと月近く子供たちだけでやって来るのだという。
おじいさんも今は大用には住んでいないけれど
自分が育ったのがこの川だからここへ連れてくるのだそうだ。
「町の子」である少年は1年生くらいの頃は川でぜんぜん泳げなかったのが
毎年この川に来て泳ぎと潜り方を覚えた。
(今は6年生くらい)
今年から1年生くらいの弟がこの「夏休み川合宿」に加わっていて
この子はまだ浮き輪でぷかぷかと遊んでいるだけだったけど
こうして川に親しんでお兄ちゃんやおじいさんの
泳ぎや潜りを見て覚えていくのだろう。
息子も、毎日川で会う少年たちを「なつのともだち」と呼んで
毎日会えるのを楽しみにするようになった。
いつも、息子と「なつのともだち」が川で遊んでいると
入れ替わり立ち替わりいろんな人が川へやってくる。
中学生くらいの少年たちはTシャツに短パンで川にやってくると
そのまま陸の延長線というくらい
構えない自然さでススススーと川に入ってしまう。
そしてたいてい息子に「お前泳げるようになったのかよ」とか
「ほらドンコがとれたぞ」とか何かしら話しかけてくれたりして
銘々カッパのように自由に水の中で遊んで
入ったときと同じような自然さで陸にあがってさっさと帰っていく。
別の少年は反対側からやってきたかと思うと
「仕掛け見てからきた。」と言ってひとしきり泳いで帰って行った。
あるときは、おじさんが本気スタイルでやってきて
あっというまに見えないところまで行ってしまう。
アユ?エビ?何か晩のおいしいのをとるんであろうと思われる。
みんな、この川で育った人たち。
川が、日常にある。
さて、「なつのともだち」に「明日は来れないけどまた今度ね」と挨拶してから
親の仕事の都合で川へ行けずじまい。
暑い暑い夏は幻のように過ぎてちょっと秋めいてきてしまった。
確か2?日まではこちらにいるという話をしていたけれど
このまま会えないのかな、さよならを言いたかったなぁ。
夏の思い出。